強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「そう、久保寺家の土地にあるだろ? そこ」

「……!」


 心臓が、今度は嫌な感じでドクンと鳴った。


「施設をなくさないでくれって、話をしにきた」


 何度か聞いていた。

 親族たちが進めている、利益が見込めない土地を売ろうという話。

 その候補の中に、児童養護施設が建っている土地もあったはずだ。確か、名前は。


「みそら園のために?」

「知ってるんだな」


 藤太は迷いのない目で頷いた。


「……どうして、そこまで……」

「俺やチビたちにとっては、あそこが家なんだ」


 その声は静かで、揺るがない強さに息が詰まりそうになる。


「俺がいない間も、あいつら待ってる」


 藤太が制服のポケットに手を入れると、そこから小さな折り紙の星が覗いた。金紙がキラリと光る。


「これ、お守りだってくれた」

「……かわいらしいですね」

「絶対帰ってくるからって言って来た」


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