強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
12.お嬢様、執事に告白する
次の日の午後。
雨の匂いがした。
窓の外を見ると、空は薄暗く、今にも雨が降り出しそう。
わたくしは一人で庭を歩いていた。
藤太を探している。
朝から姿が見えない。
使用人に聞いても、どこにいるのか分からないと言われた。
──もしかしたら。
こういうとき、藤太が行く場所は。
庭の隅にある、古びた庭小屋。
私たちが初めて出会った場所。
あの夜、雨に濡れた庭を歩いて、私はこの扉を開けた。
そして──血まみれの少年を拾った。
「……藤太」
小さく名前を呼ぶ。
返事はない。
あの夜と同じように、わたくしは扉の前に立った。
そして──ゆっくりと扉を開けた。
「瞳……」
いた。
藤太は庭小屋の奥で、一人座り込んでいた。
執事服ではなく、制服で。
「バレたか」
「……仕事に遅れましてよ」
苦笑する藤太に、わたくしは声をかける。