強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「……そうだな」


 藤太が顔を上げる。

 困ったような顔。


「昨日、奥様に言われたばかりだしな」


 そう。

 昨日、わたくしたちはそろってモニターの前に座り、お母様と雑談を交わした。


「驚いたよ。俺に会いたいだなんて」

「嫌でしたか?」


 聞いてから後悔した。

 そんなことを言われたら、否定するしかない。


「いいや、むしろこっちの話を聞いてくれて嬉しかったけど?」

「……ありがとうございます」

「奥様にもお礼を言われたな」


 お母様は藤太の顔が映るなり、『瞳の側にいてくれてありがとう』と頭を下げたのだ。

 それから、『これからも側にいてあげてほしい』とも。


「俺は……今すぐには出て行かない」


 胸が嫌な音を立てる。


「言っていましたね……決着がついたらと」

「うん。でもそれだけじゃなくて……昨日も言っただろ」

「聞きました」

「なら──」


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