強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「聞いたからこそ、納得できないのです!」


 思わず声を荒らげた。

 藤太が目を見張る。


「どうして勝手にいなくなろうとするのです!」

「勝手じゃない」

「勝手です!」

「瞳」

「わたくしに何の相談もせずに、全部一人で決めて……!」


 涙が出そうになる。

 悔しくて、悲しくて──怖い。

 なのに。


「……俺は、お前の側にいちゃいけないんだよ」


 藤太はそんなわたくしを見て、静かに言った。


「どういう意味ですの?」

「そのままの意味」

「わかりません」

「わかれよ」

「わかりたくありませんわ!」


 藤太が苦しそうに顔を歪めた。


「俺がここにいると、お前が傷つく」

「もう傷ついています」

「……」

「あなたがいなくなろうとしているから」


 言葉が途切れて、藤太は目を伏せる。


「……俺じゃ、お前には釣り合わない」

「釣り合い?」



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