強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
頬が熱くなるけど、その場から動けない。
「僕がどれほど昔から瞳さんを想っていたとしても、今の彼女が見ている相手は僕じゃない」
「……」
「……君は」
尚人さんの、何かを耐えるような声色。
「僕とは違うね」
「え?」
「僕は、瞳さんを守りたいと思っている」
「……」
「だから、彼女にとって一番いい未来を僕が考えようとしていた」
尚人さんが立ち上がる気配がした。
「家や会社、将来に婚約……すべてを考えたよ。瞳さんが困ったり、傷つかないように、安心して生きられるように」
「……」
「だけど、君は違う」
ゆったりした足音。
「君は、瞳さんの人生を決めようとはしないんだな」
藤太のはっきりした声が届く。
「……瞳が決めればいいと思っています」
「自分を選ばなくても?」
「……はい」
「本当に?」
「俺が決めることじゃないから」