強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「それでも、見てるだけなんて嫌だった。誰かが行動すれば、何か変わるかもしれないから」


 その言葉が胸にチクリと刺さった。

 藤太がこうしてもがいているというのに、この家の中で流れに身を任せるままに過ごしていた。

 お父様が倒れて、親戚たちが慌ただしく行き交って。

 会社や土地、事業の話を毎日のようにして。

 わたくしはその輪の中にいるのに、ただ涙を見せないだけで何もできないと思っていた。


 ──でも目の前の藤太は違う。


 自分にできることを精一杯考えて、ここまで来た。

 たとえ望んだ結果にならなくても。


「わたくし……」


 気づけば、彼の目を真っ直ぐ見ていた。


「わたくしが親戚たちに話します」


 藤太が目を瞬かせた。


「施設が存続できるよう、掛け合ってみます」

「……いいのか?」

「ええ。二言はありません」

「でも、お前一人じゃ──」

「わかっています」


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