強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 久保寺家の娘として、してはならないことをした。

 お父様の顔が見られず、うなだれる。

 わたくしはずっと、お父様が倒れてから自分がしっかりしなければと思っていた。

 泣いてはいけない。

 弱音を吐いてはいけない。

 久保寺家の娘として、お父様の代わりにならなければ。


「瞳」

「はい」

「少し、話をしよう」

「……はい」


 わたくしは椅子に座った。

 お父様はしばらく黙っていたが、労わるような眼差しを向けた。


「お前は最近、無理をしているだろう」

「……」


 何も言えなかった。


「家のことか?」

「それもあります」

「みそら園のことも?」

「……はい」

「そして、藤太くんのことも」

「……!」


 顔が熱くなる。


「どうして……」

「父親だからな」


 お父様が小さく笑う。


「お前の顔を見れば分かる」


 わたくしはうつむいた。


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