強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
別の親戚がポツリと呟いた。
「もちろんです。これだけの赤字がいきなり回復することはありません」
想定していた通りの返し。
わたくしは慌てずに主張を続ける。
「しかし、その大部分は建物の維持費です」
わたくしは静かに叔父様を見すえた。
「まず一年間、この方法で運営します…… それでも赤字が続くなら、そのときは売却を検討してください」
場は静まり返っている。
──これで、反対されたら。
嫌な想像が心を侵食して、指先が冷えていく感覚がする。
『もう寝ろよ』
いつだったか、夜遅くまで資料を読み込んでいた日。
困ったような、心配そうな藤太の声が聞こえてきた。
『嫌ですわ。まだこの資料を読んでいませんのに』
『明日にしろって』
『あなたこそ、さっきからずっと施設の記録を見ているでしょう』
『俺は慣れてるから』
『私だって慣れます』