強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「その代わり、残すべきものは残したい」


 これまでなら、絶対に何も変えたくないと思っていた。

 でも、それでは守れないものもある。

 お父様なら、お母様ならどうするだろう。

 そう考えるのではなく、わたくしはわたくし自身の答えを出した。


「これが、わたくしの提案です」


 叔父様は、親戚たちは何も言わなかった。

 言わなかったけれど、真摯な表情で提案や資料を見比べている。

 今までのわたくしだったら、どうだったろう。

 ここまで真剣に取り合ってくれただろうか。

 ここまで地に足が着いた案を出せただろうか。

 そっと目を閉じて、心の中で藤太にお礼を言う。

 ──あなたが教えてくれたことが、全部役に立ちました。

 ……本当に言ったらどう返してくれるかしら?

 ──俺は何もしてない。

 そう返すかもしれないと、一人ほくそ笑む。

 部屋には資料をめくる音や、小さな話し声が響いていた。


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