強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 その日の夕方、わたくしは藤太を呼び出した。

 場所は、庭小屋。

 わたくしたちが初めて出会った場所。

 扉を開ける。あのときと同じように蝶番がきしんだ。


「瞳?」

「来てくださったのですね」

「呼ばれたから」


 藤太は少し警戒した顔をしていた。

 わたくしは彼の前に立つ。


「みそら園のことですが、わたくしが守ります」

「え?」

「正確には」


 わたくしは資料を差し出した。


「みそら園を残せるように、会議で提案しました」


 藤太が資料を受け取り、真剣な顔で目を通していく。


「これ……瞳が?」

「はい」

「全部?」

「もちろんですわ」

「……無茶してないか?」


 わたくしは眉を寄せた。


「あなたが心配することではありませんわ」

「でも」

「わたくし自身が決めたことです」

「……」

「誰かに頼まれたからでもありません」


 わたくしは藤太を見る。


「あなたのためだけでもありません」


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