強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「わたくしが、この場所を守りたいと思ったからです」


 藤太は黙っていたけれど、表情から緊張が抜けた。


「……すごいな」

「当然です」

「いや、ほんとに」


 藤太が笑う。

 その笑顔を見た瞬間、胸が温かくなった。


「瞳らしい」

「……そうでしょうか」

「うん」


 そして、藤太が資料を握りしめた。


「ありがとう」

「お礼なんていりません」

「でも──」

「一つだけ」


 わたくしは言葉をさえぎった。

 少しだけ、勇気を出す。


「お願いがあります」

「お願い?」

「……あなたには」


 声が震えた。


「側にいてほしいです」

「……」


 藤太が固まる。


「みそら園のためではありません」

「……」

「執事として、でもありません」


 一歩、彼へ近づく。


「ただ……あなたに、側にいてほしい」


 藤太の目が揺れる。


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