強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 沈黙が一瞬だけ生まれ、二人で笑い合う。

 それだけで、気分が穏やかになる。

 こんな時間が、ずっと続けばいいと思った。

 でも今夜は、それだけでは終われない。

 きっとこの偶然は、神様がくれたチャンスだ。

 わたくしは藤太を見つめた。


「……藤太」

「ん?」

「今日は、あなたに伝えたいことがあります」


 藤太の表情が変わる。


「……何?」


 わたくしは胸の前で手を握った。

 怖い。

 今までで一番、怖い。

 でも、逃げないと決めた。

 自分の気持ちから。


「わたくし……」


 一度、息を吸う。


「あなたが好きです」

 言った。

 とうとう、言ってしまった。

 静かな庭に。

 自分の声だけが響いた気がした。

 藤太は、何も言わない。


「……藤太?」


 返事がない。

 私は不安になった。


「どうかしましたの?」

「……いや」


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