強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「……ずっと?」

「ずっと」


 その言葉が身体全体に染み込んでいく。

 わたくしは微笑んだ。


「……約束ですわよ」

「ああ」

「絶対です」

「わかったって」

「絶対の絶対です」

「はいはい」

「返事が軽いですわ」

「じゃあ」


 藤太がわたくしの手を握り直す。


「絶対」

「……はい」


 月が、静かにわたくしたちを照らしていた。

 あの夜と同じ月。

 でも、もうあの頃のわたくしたちではない。

 雨の中で出会った。

 身分も。

 育った場所も。

 何もかも違う私たち。

 それでも、自分の気持ちを選んだ。

 誰かに決めてもらうのではなく。

 わたくし自身が。

 藤太自身が。

 互いを選んだ。

 それだけで、十分だった。


「……そろそろ、部屋に戻りませんと」

「そうだな。また明日」


 藤太の手が離れてしまったけれど、寂しさはない。

 笑い合って、わたくしたちは別れた。


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