強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
それから、数か月が経った。
久保寺家の庭には、今日も穏やかな風が吹いている。
季節が変わっても、あの庭小屋は変わらず庭の隅に残っていた。
みそら園も無事に存続した。
収益化の案が採用され、子どもたちや卒業生、お客さんの笑い声も戻ってきた。
藤太は今まで通り、学校へ通っている。
辞めたりはせずに、放課後になると久保寺家へ来て、執事として働く。
わたくしも学校へ通い、変わらない毎日を送っていた。
何もかも、元通り。
……ではない。
わたくしの中には、誰にも言えない秘密ができたから。
「お嬢様、おはようございます」
「おはようございます」
わたくしはいつものように微笑む。
久保寺家の娘であり、完璧なお嬢様として。
背筋を伸ばし、優雅に振る舞う。
学校へ行く支度を整え、使用人たちに笑顔で挨拶する。
これが日常で、何も変わっていない。