強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
2.お嬢様、男の子を手当てする
夜、自分の部屋に初対面の男の子を連れ込む。
普通に考えれば、卒倒してしまうような話だ。
ましてわたくしは久保寺家の娘。
使用人に見つかれば、どんな騒ぎになることか。
「ゆっくり歩いてください」
わたくしたちは裏口からそっと忍び込んで、人目につかない経路で自分の部屋に滑り込んだ。
……幼少期はこうして、使用人たちの目を盗んで外で遊んでいた。それがここで役に立つとは。
「……ふう」
扉をそっと閉める。鍵をかける音がやけに大きく響いた。
藤太が部屋を見回して、ため息とも感嘆ともつかない声を漏らす。
「広……」
「どうかしましたか?」
「いや」
藤太は慌てて視線を明後日の方向に向けた。
「……なんでもない」
私の部屋は、いわゆる“普通の中学生の部屋”よりよっぽど広い。
大きな格子窓。
淡いブルーのカーテン。
全身が映る鏡。