強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
壁際は一面が本棚になっていて、中央には小くも繊細な細工が施されたテーブルとソファ。
奥の扉を開ければウォークインクローゼット。
当然、学習机やベッドも高級品だ。
必要なものは必要以上にそろっている。
それを改めて見たら、少しだけ足が落ち着かなくなってしまった。
藤太が、小さな子どもたちが施設でどんな暮らしをしているのか、私は知らずに過ごしてきた。
庭小屋で見つけたあの姿を思えば、わたくしとは全然違うことぐらいはわかる。
……それしか、わからない。
「そちらに座って」
私はソファを指して、キャビネットから救急箱を取り出した。
「少しはマシなはずです」
「平気だ……これくらい、自分でできる」
藤太はそう言って、立ち上がって救急箱を受け取ろうとした。
「うっ……」
けれど顔をしかめて、すぐに座り直してしまう。
「……」
「……」