強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「自分の状態を理解していますの?」

「……できてる」

「できていないからそうして座っているのでしょう?」

「怪我人に随分な仕打ちだな、お嬢様」

「事実でしょうに」


 救急箱から消毒液やガーゼを取り出した。

 医師を呼ぼうかと一瞬考えたけど、もう夜も遅い。

 それにこのことを大人たちに知られてしまえば、藤太がどうなるか……たぶん、きっとその場で叩き出される。

 応急処置はわたくしがするしかない。


「手を出してください」

「いや、本当に自分で──」

「藤太」


 静かに名前を呼ぶと、彼はぐっと押し黙った。


「怪我人は怪我人らしくなさって」

「……ワカリマシタ」


 少し項垂れて手を差し出した。

 わたくしは下からすくうように彼の手を自分の手に乗せた。

 庭小屋で見たときよりも、明かりの下では傷がはっきりと照らし出されている。

 あちこちが赤く、所々紫色になっていた。




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