強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
「でも、何も知らないまま……見てるだけで終わらせたくない」
お父様は目を閉じて考えているようだった。
やがて、静かに息を吸った。
「野澤くんが瞳にそう言ったのかい?」
「いいえ、直談判にきた姿を見て考えました」
藤太と初めて会ったときの姿が浮かぶ。
傷だらけで倒れ伏していたけれど、目は死んでいなかった。
自分の──小さな子たちがいる場所を守りたいと言い切った目。
「彼は、みそら園の事情をよく知っています。何度も呼びつけて話を聞くのは非効率的でしょう?」
もっと知らなくてはならない。
施設で暮らす子たちは、どんな生活を送り、何に困り何を欲しているのか。
藤太が守ろうとしている全て。
「許可しよう」
「お父様、ありがとうございます」
浮き足立つわたくしに、お父様は険しい顔をした。
「だが条件がある」
「条件、ですか」