強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「……まだです」


 藤太の眉が寄った。執事の顔が崩れてましてよ、と指摘する暇もなく、ダメ出しを食らう。


「食わねぇと力が出ねぇぞ」

「今から食べます。本当です」

「じゃあ、俺が用意するよ。食堂まで行こう」

「あなたは執事見習いでしょう?」

「だから用意するんだろ」


 そう言ってカラカラと笑う。

 前言撤回、これでは前途多難だ。

 わたくしはため息をついた。

 けれど、なぜか嫌ではなかった。

 近くに同世代の男の子がいないせいかしら?


「田中さんに食堂を案内してもらったんだけど、すげー広いのな」

「言葉遣い」

「あー……みそら園での食堂はここの四分の一程度なんです」

「上手く想像できませんが、賑やかなんでしょうね」

「ああ、今日あったこととかおしゃべりばっかりしてるな」


 ふっと笑う藤太の横顔に、また耳が赤くなってしまいそうだった。


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