強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 怖い。

 正直に言えば、足がすくんで動かせない。

 こんな古くて誰も寄りつかない場所には、何がいるか分かったものじゃない。

 ──変な人だったら?

 ──危険な人だったら?


「……使用人を呼ばなくては」


 それが一番いい。わざわざ自分で確認しないで、屋敷から使用人を呼んできて見てきてもらうべきだ。

 そう思った、はずなのに。


「……」


 足は、庭小屋へと一歩ずつ向かっていた。


「……どうして」


 自分でも上手く説明できない。

 怖いし帰りたい。

 ──でも。

 もし本当に誰かがいて、助けが必要なら。

 放っておくほうが嫌だった。


「……少し確認するだけ」


 そう声に出して自分に言い聞かせる。


「何もなければ戻ればいいんですもの」


 言い訳をしながら濡れた芝生の上を歩く。

 庭小屋が迫ってきて、鼓動がその度に速くなる。


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