強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「……何でしょう?」

「今日、ちゃんと飯食った?」

「あのね……」


 一瞬で“お兄さんの顔をする藤太”に戻る。


「あなたは本当に……」

「え? まだ食ってない?」

「あなた、わたくしを何だと思っていますの?」

「放っておくと無理する妹」

「誰が妹ですの!」


 わたくしらしからぬ大声を出してしまった。振る舞いばかり覚えるとこうなるのかしら。

 藤太は堪えた様子もなく、快活に笑った。


「ほら、そうやってすぐムキになって」

「主人に対して失礼だからでしょう!」

「へぇへぇ」

「へぇじゃなくてはい。それとはいは一回!」

「はい」


 わたくしは腕を組んで顔を逸らす。

 すると藤太が少しだけ顔をしかめた。


「本当に食べるのは大事にしてくれ」

「……わかっています」

「瞳が倒れたら困るし」


 その言葉だけは優しく響いたけど、すぐ考え直した。

 全ては施設のためだ。



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