強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
「……わかりました」
「よし」
「子ども扱いしないでください」
「してないって」
「しています……わたくしはあなたの主人なのですから、それを絶対に忘れないように」
執事として当然の心構えだが、それが藤太を守る手段でもある。
下手に距離を近くすれば、親戚たちに指摘され引き離されるかもしれない。
それだけは避けなくては。
藤太は「かしこまりました」と頭を下げて、わたくしの机の上に置かれた資料を見て心配そうな顔をした。
「またみそら園の資料?」
「ええ」
「……一日くらい、休んだって──」
「ダメです。急がないと」
「それは、約束だから?」
「それだけではありません。わたくし自身が決めたことです」
「……」
藤太が唇を引き結んだ。
「施設を残す方法を全力で探します」
「そっか」
藤太は柔らかい笑顔を見せた。
「それなら俺も全力で頑張るよ」