強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 人のことは言えないけれど、よくない癖だ。


「藤太くんは昔からああいう性格のようです」


 田中は目を細めて報告を続ける。


「年下の子にはすごく頼られていて、泣いてる子がいたら職員さんより先に事情を聞きにいくんです」

「……そうなんですね」

「だから、施設では良い兄貴分で通っていますね」


 私は少しだけ、藤太が施設で過ごす姿を想像した。

 小さな子たちに囲まれ、様子を見ながら世話を焼いて。

 相手の心を落ち着かせ、最後まで面倒を見る。


「……想像がしやすいですわね」

「ですね」

「ですが、無茶をするところは少々お話しさせていただかないと」

「……ですね」


 そのときだった。


「何の話?」


 本人が制服のまま現れた。着替えてないところを見ると、本当に出勤してきたばかりらしい。


「藤太!」

「どうかなさいましたか?」


 彼の姿をざっと確認する。



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