強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
「瞳」
藤太の声がするりと入ってきた。
「大丈夫?」
「……何ともありません」
「顔がすげぇことになってるぞ」
「あなたのせいですわ! こんなことに巻き込まれて!」
「それ、俺のせい?」
こんな状況だというのに、少しだけ笑いそうになってしまう。
けれど、その瞬間。
「だからイチャつくな!」
のっぽがまた突っ込んできた。
「はっ……!」
避けようとして──間に合わなかった。
腕に衝撃が走る。
「くうっ……!」
身体がよろめく。
「瞳!」
藤太が前に出た。
「やめろ!」
普段は穏やかな藤太の一喝に、のっぽが一瞬ひるむ。
「もう帰れ」
「うるせえ!」
のっぽが駆け出す。
藤太は真正面から受け止めず、一歩横へと最低限の動きで避けると腕をつかんだ。
そのまま上手く勢いを利用して、地面へ転ばせた。