強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 わたくしは髪を耳にかけた。


「……これで終わりですわね」

「ああ」

「あの人たちを調べてこれから釘を──」


 そこまで言ったところで、視界が揺らぐ。


「……あっ?」


 足から力が抜けたのだと、へたり込んでから気づいた。


「瞳」


 身体まで倒れそうになる。

 けれど、地面にぶつかるすれすれで持ち直した。

 藤太がわたくしを支えて、立たせようとしてくれている。


「大丈夫か?」

「……な、何ともありません。このくらい……」

「腰抜けてんだろ」

「何ともありませんわ……」

「全身震えてるし」

「……」


 言われないと気づけなかった。

 自分の両手を見ると、細かく震えて止められない。


「怖かったろ」

「……」

「……俺もだよ」

「……本当に」


 声がどうしても震えてしまう。


「本当に少しだけ、怖かったです」


 藤太はそれに口を開かない。


< 61 / 182 >

この作品をシェア

pagetop