強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 ただ、わたくしの前にゆっくりとしゃがみ込んだ。

 目には光るものがあったけれど、瞬きのうちに消えてしまう。


「怖いのは俺も同じだよ」

「……」

「瞳がこれ以上怪我するかもと思ったら、すっげぇ怖かった」

「……」


 ──頭の芯がポーッとする。

 どうしてこんなに、胸が苦しくなるのだろう。


「屋敷に戻ろう、皆が心配してる」


 藤太に支えられながら、屋敷の門を潜った。


「お嬢様! お怪我はありませんか!?」


 田中が大慌てで近寄ってきた。

 奥には警官もいる。


「怪我なんて──」

「腕をつかまれてしまいました。あざになっているかもしれません」


 ありません、と答えようとしたら、藤太が大きめの声でさえぎった。

 そのまま深々と頭を下げる。


「藤太、何を──!」

「こうなってしまった責任は俺にあります」

「藤太くん……」


 田中は藤太の肩に手を置いた。


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