強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
……なんて人なの。
主人に交渉を持ちかけるなんて。
でもそのくらいはいいかと了承する。
問題はここからだ。
「今日のことは……わたくしが……腰を抜かしたことは忘れてください」
「ああ」
藤太の肩から力が抜ける。
「別にいいよ」
「今、笑いましたわね!」
「いやいやいや」
「絶対に笑いました!」
「じゃあ忘れる」
「……約束でしてよ?」
「そうだな、約束」
わたくしは安心して短く息を吐いた。
けれど、藤太は少しだけ真面目な顔をした。
「瞳も約束守ってくれよ。無理して一人で何でもしようとしないでくれ」
「……それは」
「強いのは十分わかったから」
胸が苦しくなった。
誰にもかけられたことのない言葉。
強く、しっかりしていなければ。
お父様の、お母様の代わりにならなければ。
──そう思っていた。
でも、藤太はわたくしが強いことを知っている。