強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
その上で、
「無理しなくていい」
そう言ってくれる。
「……あなたは、本当に……鈍いですわ」
「?」
藤太は首を傾げる。
ダメだ……最後までわかっていない。
わたくしは顔が熱くなるのを感じながら、不自然にならないようそっと視線を逸らす。
──本当にずるい人。
わたくしはこんなにも、あなたの言葉ひとつで弱くなってしまった。
こんな自分は知らない。
あなたも何も知らない。
わたくしは気持ちを落ち着かせようと、このベンチに座るまでの経緯を思い出す。
その夜は、なかなか寝つけなかった。
ベッドに横になって、目を閉じても。
まぶたの裏に浮かぶのは、昼間の光景ばかりだった。
向かってくる不良たち。
振り上げられた拳。
自分の手足が動いた感覚。
そして。
『瞳がこれ以上怪我するかもと思ったら、すっげぇ怖かった』
「……っ」