強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「それは……怖いに決まっていますわ」

「……」

「でも、どうしてわたくしのことまで、そこまで……」


 言葉が続かない。

 藤太は少し考えるように夜空を見上げた。

 月ばかりで、星は見えない。


「……わからない」

「わからない?」

「ああ」


 そして、ぽつりと言った。


「ただ……瞳は、俺が守らないとって思った」

「──っ」


 息が止まった。

 胸の奥が、痛い。

 どうしてそんなことを、そんな顔で言うの。


「……本当に、約束だからな」


 藤太がこちらを見る。


「一人で抱え込まないで、ちゃんと怖がっていいんだから」

「……」

「強いからって、ずっと強いままでいなくてもいいだろ」


 涙が、また溢れた。


「……困りますわ」

「何が?」

「そんなことを言われたら……」


 声が震える。


「また、泣いてしまいます」


 蓮は少し困ったような顔をした。



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