強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
6.お嬢様、執事の幼なじみと出会う
その日、わたくしは初めて施設──みそら園を訪れた。
藤太が育った場所。
私が守りたいと思い始めた場所。
そして──藤太が「家」と呼ぶ場所。
「こちらです、お嬢様」
車を降りると、みそら園の職員の方が頭を下げた。
中年くらいの女性で、ショートヘアを明るいブラウンで染めている。
「ありがとうございます」
わたくしは軽く頭を下げる。
いつものわたくしなら、何も問題はない。
けれど、今日は少しだけ緊張していた。
ここには、藤太がいる。
それだけで、違って見えた。
古い建物。
少し色の褪せた壁。
庭には小さな遊具が置かれている。
決して豪華ではない。
でも──どこか温かい。
「……ここが」
藤太の帰る場所。
そう思った瞬間。
「瞳?」
「……え?」
聞き慣れた声がした。
振り返る。
そこには、制服姿の藤太が立っていた。