強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
「そうか。今日だったな」
「ええ。一時間ほど視察をさせていただきます」
「じゃあお茶を──」
「遊びに来たわけではありませんの」
そう。ただお邪魔しにきたわけではない。
みそら園の現状と問題を知り、続けられるよう救済案を作る。
そのためには資料だけでなく、実際に見て触れなくては現実的な案はできない。
そう考えたわたくしは、園長に相談してわざわざ時間を作ってもらったのだ。
……藤太が休みでも堂々と会える、だなんて思ってはいない。
「そうだな」
藤太が少し笑った。
「ようこそ、我が家へ」
「……失礼いたします」
お互い微笑み合う。
彼の顔を見ていると、ここへ来てよかったと思う。
そのときだった。
「藤太!」
建物の中から、制服姿の女の子が駆けてきた。
肩までの黒髪。明るい表情。
わたくしや藤太と同じくらいの年齢に見える。