強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「そうか。今日だったな」

「ええ。一時間ほど視察をさせていただきます」

「じゃあお茶を──」

「遊びに来たわけではありませんの」


 そう。ただお邪魔しにきたわけではない。

 みそら園の現状と問題を知り、続けられるよう救済案を作る。

 そのためには資料だけでなく、実際に見て触れなくては現実的な案はできない。

 そう考えたわたくしは、園長に相談してわざわざ時間を作ってもらったのだ。

 ……藤太が休みでも堂々と会える、だなんて思ってはいない。


「そうだな」


 藤太が少し笑った。


「ようこそ、我が家へ」

「……失礼いたします」


 お互い微笑み合う。

 彼の顔を見ていると、ここへ来てよかったと思う。

 そのときだった。


「藤太!」


 建物の中から、制服姿の女の子が駆けてきた。

 肩までの黒髪。明るい表情。

 わたくしや藤太と同じくらいの年齢に見える。


< 76 / 182 >

この作品をシェア

pagetop