強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
「……あなた、まず自分の怪我を心配すべきではありませんの?」
「俺はいい」
「よくありません」
「慣れてるから、怪我」
あまりにも普通に、天気の話でもするように言い出すものだから、胸が詰まってしまった。
この人は、自分が傷つくことを当たり前みたいに受け入れている。
「……変な人」
「よく言われる」
「褒めていませんわ」
「知ってる」
男の子の口元が、ほんの少しだけ緩んだ。眉尻も若干下がる。
「いて」
「……」
でも、口の中も切れていたのか、すぐに顔をしかめてしまった。
──わたくし、どうしてしまったのかしら?
さっきまで寒かったのに頰が熱くなって、慌てて視線を逸らした。
鋭い目をすると思ったら、柔らかく笑うから混乱してるだけだ。ましてや怪我人なんだし、その心配が先だ。
「と、とにかく!」
少し声が裏返る。