強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
「捕まってください!」
「……わかった」
男の子が傷だらけの手を伸ばしてくる。
その手が、わたくしの手に重なりギュッと握られる。
「……は」
冷たい。
それでいて力強い。
でも、触れた瞬間、心臓が跳ねて胸だけが熱くなった。
「手、震えてる」
「……震えていません」
「震えてるよ」
「この気温ですから」
男の子は不思議そうにわたくしを見る。鋭さはもう微塵もない。
「……変なの」
「お互い様でしょう!」
思わず言い返すと、男の子が少し笑った。
「……何がおかしいんですの?」
「いや、面白いやつだと思って」
「……!」
男の子の手を握っていない指先がさまよった。
「お、面白い? 私が?」
「うん」
「余裕ですわね?」
じとりと睨めつける。男の子は「やっぱり面白い」と微笑んだ。
その姿に、また胸が高鳴る。