強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



 そしてふっと笑った。


「なるほど」

「何が?」

「どうかしまして?」

「ううん。何でもない」


 その笑い方が少し気になったけれど、喉の奥に押し込めて、みそら園の全体を案内してもらうことにした。


「お二人とも、みそら園を見せてくださる?」

「もちろん、一番近いところから行こう!」


 美緒が嬉しそうに施設の中を指差した。

 藤太は軽く肩をすくめて、わたくしと一緒に美緒の後に続く。

 小さな食堂、子どもたちの部屋、職員の方が使う事務室。

 どこを見ても、決して裕福とは言えない。

 でも、子どもたちの笑い声が聞こえる。

 壁には、手作りの飾り、写真、誕生日を祝った跡。

 ここには、ここでしか作れない時間がある。


「藤太」

「ん?」

「あなたが守りたい理由、少しわかった気がします」

「……そっか」


 藤太が穏やかに笑う。


「お姉ちゃん!」


< 80 / 182 >

この作品をシェア

pagetop