強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
少し離れたところで、女の子の相手をしていた藤太が振り返る。
「どうした?」
「何でもありません! ええ!」
藤太が首を傾げる。
女の子を庭まで送っていくのを見送ってから、わたくしは美緒を睨んだ。
「……どういうつもりですの?」
「別に」
「突然そんなことを聞くなんて」
美緒はいたずらっ子のように肩をすくめた。
「お嬢様って、大変だね」
「……どういう意味ですの?」
「好きな人にも、素直に好きって言えなさそうだから」
「……!」
言葉が出なかった。
完全に固まった私を見て、美緒は小さく笑った。
「やっぱり」
「ち、違います」
「そう?」
「わたくしは、その……」
何を言えばいいのか分からない。
藤太は大切な人で、それは間違いない。胸を張って言える。
でもそれが恋なのかなんて、考えたこともなかった。
「……藤太は」