強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ



「なぜです?」

「藤太が誰を見てるか、わかるから」

「……え?」


 美緒がわたくしを見る。

 その目は、お母様がわたくしを見つめる目に似ていた。


「藤太って、わかりやすいよ」

「そうでしょうか?」

「うん」

「わたくしには、全然……」

「岡目八目かぁ……」


 胸が、また小さく鳴った。


「じゃあ、私は応援する側でいいかな」

「応援……?」

「そう、応援」


 美緒は意味ありげに笑って、それ以上は何も言わなかった。

 そのとき。


「瞳」


 後ろから声がして、振り返った。


「何話してたんだ?」

「ええと……」


 突然のことに口ごもってしまう私に代わって、美緒がケロッとした顔で口を開いた。


「みそら園が一番問題にしてるのは何かって話してた」

「金だな」

「……即答ですのね」


 わたくしが相づちを打つと、美緒もうんうんと頷く。


「やっぱりそこだよねぇ」



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