強気で完璧なお嬢様は執事の前でだけヘタレ
7.お嬢様、執事との身分差に悩む



 その噂を聞いたのは、昼休みだった。


「ねえ、久保寺さん」


 教室の窓際でお弁当を食べていたわたくしに、クラスメイトが声をかけてきた。


「最近、久保寺家に男の子がいるって本当?」

「……男の子?」

「使用人の子って聞いたんだけど」


 わたくしは箸を止めた。


「どうして、そのような話を?」

「やっぱりいるんだ」

「え?」

「だって、噂になってるよ」


 向かいにいた香織が、あからさまに嫌そうな顔をする。


「どんな噂?」

「なんか、久保寺家のお嬢様が変な男の子を屋敷に置いてるって」

「変な男の子って……」


 香織が眉をひそめる。


「それ、言い方ひどくない?」

「だって、どこの子かわからないって」

「施設の子なんでしょう?」


 別の子が口をはさんだ。


「孤児なんじゃないの?」

「……」


 胸の奥が、ひやりと冷えた。

 わたくしは箸を置く。


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