婚約者の浮気相手は母でした。
「姉さんのせいではないよ。そもそも、姉さんがその場にいなければ、僕も父様も母様の浮気を知れなかった」
「でも、私には色々と落ち度があったわ。もう少し動向を見守っていれば、二人がどこに向かったかもわかったはずなのに……」
「その状況を見て、冷静な判断を求める方が無理というものさ。まあ僕達は待つしかないし、昼と同じように落ち着こう」

 イルルドに言われて、私はハッとなる。
 確かに今の私は昼に動揺していた時と同じだ。イルルドを見て、私はひどくそう思った。

 彼だって、動揺しているのだ。それでも私を気遣って、それを表に出そうとしていない。
 姉であるというのに、弟に気遣ってもらってばかりでは情けない。そう思って、私は少し落ち着くことにする。

「……ああそういえば、リビルト様はどうしているのかしら?」
「それはわからないね。でも、状況から考えると彼も戻りづらいんじゃないかな?」
< 14 / 116 >

この作品をシェア

pagetop