君の名に花束を
そう話す圭吾の目はまるで星のように煌めいており、初めて見るクラスメートの顔に四葉は見入ってしまう。誰かに対し、これほど「綺麗」と感じたのは初めてで四葉は自身の感情に戸惑いながら訊ねた。

「その本有名なの?あたし、本全然読まないからわかんなくてさ」

「めちゃくちゃ有名だよ!大ベストセラーで、世代を越えて愛されている物語だよ」

「どんな話なの?」

小説にそれまで四葉は興味など抱いたことはなかった。しかし、それまでほとんど接点のなかった圭吾と話してみたいと何故か思い、小説のことをどんどん質問していく。

「読書初心者なら、星新一さんがおすすめだよ。ショートショートって言って、一話一話が短いし面白いから読みやすいと思う」

「へえ〜」

小説について色々と聞いているうちに休憩時間が終わってしまい、戻って来ない部長を心配して部員たちに探されるという事態になってしまうほど、四葉は圭吾との話に夢中になっていた。
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