君の名に花束を
そして、四葉は読書の世界に足を踏み入れていくことになる。これが四葉の未来を大きく変える運命の出会いだった。



初めて圭吾と話した日から、四葉は少しずつ本を読むようになった。そして圭吾とも毎日少しだけ本の話をし、おすすめの本を図書室などで教えてもらうことが当たり前になっていった。今日も四葉は部活に行く前に図書室に寄る。

「東郷くん、「公開処刑人 森のくまさん」すっごく面白かった!初めてミステリー読んだよ!」

「その作品、ミステリー小説デビューにはいい作品だと思って。楽しめたみたいでよかった」

小説の話をする際、圭吾は何よりも幸せそうに笑う。その顔を見るたびに、四葉の胸はどこか温かくなっていくのだ。それが不思議でたまらない。

四葉はふと圭吾の手元を見た。彼の手元にはいつもは本が置かれているのだが、今日は違う。大学ノートが一冊置かれていた。

「テスト期間じゃないのに勉強してるの?偉いね」
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