~best friend~ふたりで図る距離(こい)の行方。
「そっか,じゃあ帰ろうぜ」
彼方はいつもよりよそよそしい私へ驚いたように見えたけど,何も感じてないふりをしてくれた。
断るにしても,以前の私はこうじゃなかった。
2人で歩きだしても,お互い何も言わない。
探るような空気が,どちらからも流れる。
どうしよう。
何も頭に浮かばなくて,本気で困ってしまう。
前はどうやってこの,駅までの長い道のりを埋めていたんだっけ。
なんの,どんな話を。
すらすら出てきたはずの話題が,たったの夏期休暇を挟んだだけの今はお互い1つもない。
今まで出来ていたことが出来ないなんて……
こんなに不器用な私じゃ,もうだめなのかもしれない。
じわりと頭に浮かんだ自分の映像は,目に涙を浮かべていた。
痛い,苦しい。
初恋が,言葉にならずに泣いている。
いつか聞いてしまった彼女の声が
『透流……っ!! ふふ』
無性に,羨ましかった。
その夜私に届いたメッセージは
『明日アイスの新作出るって。行く?』
『えーーーー。いく,かも』
『り』
私よりずっと器用な彼方の気遣いに溢れていた。