この結婚には愛しかない

「大好きなんです。伊織さん。ずっとずっと、」


伊織さんは言葉を発しない。お腹や腰を滑らせていた大きな手が止まり、ぎゅ、とウエストを抱きしめられる。

そして、はあ、と息を吐き、頭を私の肩に乗せた。


「伊織さん、ひいてますか?気持ち悪いですよね、重すぎですよね、すみません」

「嬉しいに決まってるよね。ほんと、俺の奥さんは俺を喜ばせる天才でしょ」


後ろから覗き込んできた伊織さんと目が合う。優しい弧を描く大きな瞳。

「ありがとう」

その瞳が近づいてきて、私は瞳を閉じた。

期待通りのキスをくれる。心まで溶かすような、甘い、甘いキス。Tシャツの中の手が、素肌を滑り、身体がどんどん熱を帯びる。

「(伊織さん...)」

「よし、シャワーしてくるね」

突然、伊織さんの手も唇も離れ、ぽん、と頭に手が置かれた。


「俺を欲しくなったでしょ?」

そう言って、伊織さんはバスルームに消えていった。

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