この結婚には愛しかない
なんだか申し訳ない。ホールディングスがあんなになって滅入ってるのにこんな話を聞かせてしまって。

もう少し笑って話せたら良かったんだけど、でもきっとこの話は、この先ずっと笑って話すことは出来ないかもしれない。


「今日ホールディングスが買収されたことを聞いて、ずっと考えてたのは神田さんのことなの」

「え?」

「今の会社に転職してきて、神田さんと1年だけだったけど一緒に働くことが出来て、私の人生変わったって思えるくらい、それだけ特別な1年だった」

「どういう意味ですか?」

「私みたいに特にこれといって仕事の強みがない人間の、できることをとにかく伸ばしてくれる人だった。ちょっとできるを得意に変えてくれて自信を持たせてくれた。仕事ってこんなに楽しいんだって教えてくれた」

そうですか。と呟いた長谷川くんが桜の花を見上げる。つられて目線の先を追うと、無性に神田さんに会いたくなった。
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