この結婚には愛しかない
「神田さんは今どこにいらっしゃるんだろう。何をなさっていて、これからどうなさるおつもりなんだろう」
「東京のホールディングスにいないんですか?」
「1年の半分以上を海外で過ごされてるの。多分...」
「多分?小泉さんは神田さんとまだ連絡とってるんですか?」
神田さんとは送別会が最後で、あれから3年間、1度もお会いしていない。
私は3年間ずっと、取り留めのないメッセージを送り続けている。
神田さんからは平均して1週間に2、3回の頻度で、画像が送られてくる。恐らく今滞在しているであろう外国の景色だったり建物だったり食事だったり。時々、忘れた頃にとてもキレイな花の画像が送られてくることもある。
1度、室内の窓ガラス越しに外の雪景色の画像を送ってくださったことがあった。その窓ガラスに神田さんの姿が映り込んでいて、たったそれだけで涙が出るほど嬉しかった。
「え、その雪景色って小泉さんのスマホの待ち受けですよね?どんだけ好きなんですか」
「キモいかな、さすがに。ストーカーっぽいかなって自分でも思うことがある。ちなみに送ってくださった画像は、アルバムにフォルダ作って保存してる」
「ヤバっ。ひくわそれ」
敬語の中に、時々タメ口混じりでこんなふうに笑いながら飄々とツッコミを入れてくれる長谷川くんがいつも通りでありがたい。
暗い気持ちが晴れてくる。