この結婚には愛しかない
「莉央ごめん。こんな遅くに運転させて」

「私は大丈夫です。伊織さん大丈夫ですか?お水飲まれますか?」

家からミネラルウォーターのペットボトルとタオルを持ってきた。念のため、頭痛薬と胃薬も。

「あー、水ちょうだい。店出て1人になったら急に酔いが回ったんだ。でもこれでもだいぶ楽になったんだよ」

それのどこが。と言いたくなる。でもこんな時ですらかっこいい。


「歩けますか?」

「うん。ちょっと肩貸してね」

足取りはしっかりされていて、念のために体を支えて車に移動した。ほんのり香水の香りと、アルコールの匂いがする。

助手席に乗ってもらって車を発進させた。ゆっくり安全運転で。

伊織さんの足が長すぎて窮屈そうで申し訳なくなってくる。普通車なのにな、この車。


「大丈夫ですか?」

「うん。頭が割れそうなだけ」

「頭痛薬飲まれますか?」

「あー、うん、大丈夫」


それきり目をつぶられたので、ひとまず無事家に連れ帰ることだけを考えた。
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