この結婚には愛しかない



男性2人が車だからという理由でお酒を飲まなかったので、今日はお食事会だった。

また今夜も付き添いポジのままだったと、諦めかけた午後9時30分。


変化は突然訪れた。


店先で中村くんと莉央が何か小声で話していて、肩を寄せ合う2人の距離がやたら近い。

あの2人もしかして...まさかね。

隣にいる湊も2人を見ていて「中村!」と声を掛けた。良かった。離れろって言ってくれるんだ。


「俺佐和送って行くから、中村は莉央ちゃん頼むな」

「はい!」

「え?ダメダメ絶対ダメ!湊ちょっといい?」


湊の手首を引っ張り、2人の死角まで連れて行った。

「ダメだよ中村くんに送らせちゃ。莉央が危ない。もしかして中村くんに頼まれた?」

「佐和は俺と2人きりになりたくない?」

「それは...」


店の壁を背に立つ私を、20センチ程高い位置から見下ろす湊。

私が掴んでいたはずの手が、逆に私の手首を掴む。


「俺が佐和と2人になりたい。ただの付き添いで俺があいつに何度も付き合うと思ってた?」

「うそ...」

「あいつなら大丈夫。莉央ちゃんのことは早々にあきらめて、東京にいる元上司とのこと応援してるよ。今どき珍しい純愛に泣けるって」

ヤバい。ドキドキしかしない。湊に見つめられて固まっていると、グイと手を引かれ、ふわり、身体を抱かれた。


「それで?佐和は俺と2人きりになりたくない?」

「...なりたい」
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