この結婚には愛しかない
「待って。今日の下着、シームレスの色気ないやつだ。蛙化される」

「なに?帰らないとは言ったけど、期待してる?」

「は、やだ帰って。意地悪言わないでよ」

「ごめんごめん。でも大丈夫。すぐ脱がすから」

「(ヤバい!この人凄くオスっぽい!)」


車の中で莉央に電話をかけた。

付き合うことになったこと、莉央にすぐに知らせたいと言うと、そうだねって笑ってくれた。


電話の向こうで喜んでくれる莉央の隣に、中村くんもいた。

湊と付き合いの長い中村くんは、湊の雰囲気から、今夜動きがあるなと察知していて、莉央と2人で私からの報告を待っていてくれたらしい。

中村くんがちょっと羨ましい。私も湊と早くそんな関係になりたい。


「今2人どこにいるの?」

カーン、カーンと周りが騒がしい。こんな時間に道路工事かな。


『バッティングセンター。佐和行ったことある?めちゃくちゃ楽しいよ!80キロの球をホームラン打てたんだ。大谷くんの球も打てそうだよね』

『大谷は160キロだぞ?かすりもしねえよ。莉央ちゃん天然?くっそかわいい』

「中村くん、絶対莉央に変なことしないでよね」

『しないって。莉央ちゃんには手を出せない。バチが当たりそう』

「当たりそう、じゃなくて本当に当たるから」

『怖っ。店長、結果的に俺のアシストっすからね。メシ奢ってくださいよ』

「いつも奢ってるだろ」

『ウィー』

「それやめろ」
< 260 / 348 >

この作品をシェア

pagetop