この結婚には愛しかない
長谷川くん。莉央は体を動かすこと好きって忘れてた。

王道デートもありだけど、2回目があればアクティブなプランもいいんじゃない?って、このくらいのアドバイスはしてあげたい。


「莉央、ありがとう」

「ううん。私は何も。佐和良かったね」

もしいつか莉央がアクション起こしたら。

悩んだり辛い時には、私が莉央の力になる。

それから、嬉しい時には一緒に笑お?


「中村?明日俺が遅刻したらスタッフには適当に言っといて」

『うわ、えっろ。店長明日遅番なのにかよ。でも店長そういうところ厳しいから絶対遅刻しないくせに。この仕事の鬼。佐和ちゃんその人なかなかの鬼でさ、』

「じゃあな」

「(厳しいんだ。え、好き)」


突然通話を終えたスマホを、笑いながらカバンにしまった。

車から降りて部屋に向かいながら、湊がぎゅ、と手を繋いでくれる。


繋いだこの手を、離したくない。


「私ワガママ言って湊を振り回すかも。嫌われそう、やだ。なるべく我慢する」

「振り回されてあげるから、素の佐和でいて」

「ヤバい。彼氏がイケメンすぎる」


しっかり繋がれた手。合わせてくれる歩幅。

一目見て、恋に落ちた相手が、恋人になった夜。


歩道の上で、ふと立ち止まった湊が、「佐和」と名前を呼んでくれる。

立ち止まり見上げると、私を見下ろす優しい目が近づいてきて、目を閉じた。


「もう1回」

キスが嬉しくて強請ると、さっきよりも少し長く、唇を重ねてくれて。


「好きだよ」



幸せが降って来た。




【番外編②-side宮内佐和-完結】

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