この結婚には愛しかない
“プライベートの予定を詰めた“とは、資産運用と筋トレ。会社の仲間や友人との飲み、ゴルフ。たまに実家に顔を出して甥っ子姪っ子と遊んで癒される。

この代わり映えしない日常に、最優先でやるべきことをプラスした。

まさか来月ジェイデンに打ち明けることになるとは思いもしなかったが、“プラン1”実行に向け動き出した。

相応の覚悟を持って。


海外の企業を自分の目で見て体感するたび。

他社の経営者のビジョンや理念を耳にするたび、ホールディングス退社をより現実的に考えるようになった。

ホールディングスに明るい未来はないだろう。良くて現状維持。

どうにかホールディングスを俺の力で立ち直らせたいと思うほどの愛社精神、熱意や情熱が俺にはなかった。


ただ、ホールディングスに未来がないということは、あの子会社もイコールだ。

あの会社なら。

キミのいる会社は救いたい。

かつて日本が半導体市場の世界シェア7割を誇っていた時代に、あの子会社が設立された。

そして約20年前、日本の半導体産業は日米通商摩擦の犠牲となり没落した。

今政府が国をあげて半導体産業の復活に力を注いでいるが、迷走した結果静かに幕を下ろすことになるかもしれない。


そんな背景もあり、もしもホールディングスの後ろ盾を失くした場合、あの子会社がここ日本で半導体事業を存続させるのはかなり厳しい。

日本で作っていては、コスト面で海外に太刀打ちできないことが主な原因のひとつだ。
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