この結婚には愛しかない
伊織さんと別れ部屋に帰って1番にしたことは、もらった花束を花瓶に生けること。持っている花瓶の中でも1番大きいものに生けたんだけど、花が多すぎてバランスが難しかった。
テレビボードに飾ると、テレビがすごく小さく見えた。
服を着替えてから、観葉植物の水やり。そして佐和とのビデオ通話。
『莉央!どうだった?』
「あのね、伊織さんが、」
『いやあああ!!おめでとおおおお!莉央おおおおお』
私は今までずっと神田さんと呼んでいた。再会してからは神田専務。
それを今“伊織さん”と呼んだだけで佐和が絶叫した。
「まだ何も言ってないのに」
『顔見たらわかるよ!愛された顔してる。いつも以上にすっごい可愛い!』
「...うん、奇跡みたいな素敵な夜だった」
『いやあああああ!!!』
伊織さんがプロポーズしてくれたこと。お誕生日をお祝いしてくれたこと。離れていても好きでいてくれたことを伝えるたび、画面の向こうで佐和が何度も壊れた。